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はじめに
「耐震等級1でも、法律の基準を満たしているなら大丈夫?」
「やっぱり、絶対に等級3の家じゃないとダメなの?」
新築戸建てを探していると、耳にする「耐震等級」。
その重要性は分かっていても、各レベルの本当の意味や、
ご自身の家探しでどこを基準にすべきか、
悩まれる方も多いのではないでしょうか。
こんにちは!
足立区・下町エリアの不動産専門家、
センチュリー21アイリンクスの飯島です。
この記事では、この複雑な「耐震等級」について、
それぞれのレベルが持つ意味と、
あなたの家族と資産を守るための賢い考え方を、
プロの視点から徹底的に解説します。
【大前提】今の新築は、
まず「命を守る」ことが最低基準
まず、最も重要な大前提からお話しします。
現在、日本で建てられる新築戸建ては、
建築基準法により「耐震等級1」をクリアすることが
法律で義務付けられています。
これは、震度6強~7の大地震が起きても、
即座に倒壊・崩壊せず、中にいる人の「命が守られる」ことを意味します。
つまり、「新築戸建てを選ぶ」という時点で、あなたはすでに、
地震に対する最低限の安全性を手に入れているのです。
これは、震度6強~7の大地震が起きても、
即座に倒壊・崩壊せず、中にいる人の「命が守られる」ことを意味します。
つまり、「新築戸建てを選ぶ」という時点で、
あなたはすでに、地震に対する最低限の安全性を手に入れているのです。
これが、古い中古住宅にはない、新築の大きなアドバンテージです。
3つのレベルの違いを徹底比較
では、等級1と、その上の等級2・3では、
何が違うのでしょうか。
それは、
「地震が起きた“後”の、暮らしを守れるか」
という点です。
耐震等級1
- 基準: 建築基準法で定められた最低限の耐震性能。
- 目的: 震度6強~7の地震に対し、倒壊・崩壊しないこと(人命の安全確保)。
- 地震後の状態: 建物が損傷し、大規模な修繕や建て替えが必要になり、
住み続けられなくなる可能性はあります。(その場合は地震保険で対応する)
耐震等級2
- 基準: 耐震等級1の1.25倍の地震力に耐える性能。
- 目安: 災害時に多くの人の命を守る「避難所」として指定される、
学校や病院に求められるレベルの強度です。
耐震等級3
- 基準: 耐震等級1の1.5倍の地震力に耐える、最高レベルの性能。
- 目安: 災害対応の最前線基地となる「防災拠点」として機能することが求められる、
消防署や警察署と同じレベルの強度です。 - 地震後の状態: 大きな地震の後でも、建物の損傷が軽微で、
大規模な修繕をせずとも、そのまま住み続けられることを想定して設計されています。
実際に2016年の熊本地震では、耐震等級3の住宅は2度の震度7の揺れに耐え、
倒壊ゼロという結果が報告されています。
もし「耐震等級3」を選んだら?
得られる3つの大きな付加価値
「命が助かるなら、等級1でも十分では?」
はい、その通りです。
ただもし、「耐震等級3」がついている物件の場合には、
さらに上乗せされる、非常に大きな付加価値(メリット)があります。
メリット①:「その後の生活」を守れる、最高の保険になる
地震の後、住む家を失い、避難所生活を送りながら、
家の再建のために二重のローンに苦しむ…。
(地震保険に入っていればある程度保全はできます)
「耐震等級3」は、そんな最悪の事態を避けるための、
何物にも代えがたい安心感を与えてくれます。
メリット②:「地震保険料」が半額になる
「耐震等級3」の住宅は、地震保険料が50%(半額)になる、
非常に大きな金銭的メリットがあります。
これは、国が「それだけ地震に強く、
保険金を支払うリスクが低い家だ」と認めている証拠です。
メリット③:将来の「資産価値」を維持しやすくなる
将来、その家を売却する際、「耐震等級3」であることは、
他の物件との明確な差別化となり、
高く、そして早く売却できる大きな強みになります。
【重要】「耐震等級3相当」という言葉にご注意
物件の広告で、「耐震等級3相当」という言葉を見かけることがあります。
これは、設計上は等級3と同じ強度で作られているが、
正式な評価機関の認定(住宅性能評価書)を受けていない、という意味です。
この場合、地震保険の割引は適用されません。
本当に「耐震等級3」のメリットを享受するためには、
必ず「住宅性能評価書」を取得しているかどうかを確認することが重要です。
【プロの視点】中古戸建ての耐震性、
どう考えればいい?
では、中古戸建ての場合はどうでしょうか。
「古い家は地震に弱いのでは?」
と不安に思う方も多いかと思いますが、
ここにもプロが見るべき、明確な基準線が存在します。
運命の分かれ道は「1981年6月1日」
注目すべきは、その家が「新耐震基準」で建てられているかどうかです。
建築確認日が昭和56年(1981年)6月1日以降の建物は、
すべてこの新耐震基準で建てられており、
法律上、「耐震等級1」と同等の強度を持つことが定められています。
つまり、この基準日以降に建てられた中古戸建てであれば、
新築の耐震等級1の家と同じく、震度6強~7の大地震でも、
まず「命が守られる」という最低限の安全ラインはクリアしている
と考えて良いのです。
ただし、「劣化」には注意が必要
しかし、新築と違うのは、経年による「劣化」です。
いくら新耐震基準で建てられていても、
その後のメンテナンス状況によっては、
シロアリの被害や雨漏りによる構造材の腐食が進んでいる可能性もゼロではありません。
だからこそ、中古戸建てでは、「新耐震基準を満たしているか」を大前提とした上で、
専門家によるインスペクション(建物状況調査)を行い、
現在の建物の“健康状態”を正確に把握することが、何よりも重要になるのです。
【➡【中古物件の売買】インスペクションとは?費用から報告書の「賢い見方」】
【プロの視点】中古マンションの耐震等級、
どう考えればいい?
ここまで戸建てを中心に解説してきましたが、
「じゃあ、中古マンションの場合はどうなの?」
と思う方も多いでしょう。
結論から申し上げますと、
中古マンションで「耐震等級2」や「耐震等級3」と
明確に表示されている物件は、
極めて稀(まれ)です。
ですが、等級1だからといって、決して弱いわけではありません。
なぜ、マンションは耐震等級を取得している物件が少ないのか?
理由は、鉄筋コンクリート造(RC造)が基本のマンションは、
木造の戸建てとは頑丈さのレベルが根本的に違うからです。
マンションにおける「耐震等級1」は、
すでに非常に高い耐震性を確保していると考えるのが正しい認識です。
そのためコストをかけてまで、
それ以上の等級を取得しているのは、
一部の超高級タワーマンションなどに限られます。
では、プロは何をチェックするのか?
「耐震等級」という数字だけに頼れないからこそ、
私たちプロは、中古マンションの本当の耐震性・安全性を、
以下の2つのポイントで総合的に判断します。
- 「新耐震基準」かどうか(1981年6月1日以降)
ここが大切なラインです。建築確認日が昭和56年6月1日以降であれば、
震度6強~7の地震でも倒壊しないレベルの耐震性が確保されています。 - 「どう維持されてきたか」(管理状態)
そして、中古マンションで最も重要なのがこれです。
いくら新築時に頑丈でも、その後のメンテナンス(大規模修繕など)が
適切に行われていなければ、劣化は進みます。
「長期修繕計画書」がきちんと存在し、計画通りに修繕が行われているか。
これこそが、そのマンションの現在の、そして未来の安全性を担保する、最も重要な指標なのです。
まとめ:「必須」ではない。
しかし「最高に賢い選択」
もう一度整理しましょう。
- 耐震等級1: 家族の**「命」**を守る、重要な基準です。
- 耐震等級3: 家族の**「命」と「その後の暮らし」、そして「資産」**まで守る、
より高い基準です。(主に戸建て)
耐震等級3は、多くのメリットを持つ、非常に賢い選択です。
しかし、それが唯一の正解というわけではありません。
素晴らしい立地や、
ご家族が心から気に入った間取りなど、家選びには様々な価値基準があります。
それらのバランスを見ながら、
お客様にとってのベストな一軒を一緒に見つけ出すこと。
それこそが、私たちプロの仕事です。
耐震性能について、少しでも気になることがあれば、
いつでもお気軽にご相談くださいね。
▼足立区での具体的な中古物件探しはこちら
インスペクションの重要性をご理解いただけたら、
次はいよいよ具体的な物件探しです。
以下のまとめ記事で、それぞれの探し方の秘訣を詳しく解説しています。