Contents
はじめに
「今の家を売って、新しい家を買いたい」
いわゆる「住み替え(買い替え)」は、
多くの方が経験するライフイベントです。
もし、嬉しい事に今の家が買った時よりも
高く売れて利益(譲渡所得)が出た場合には、
利益には税金がかかってしまいます。
そして、新しい家を住宅ローンで購入していれば、
「住宅ローン控除」で税金が戻ってきます。
ほとんどの方は
「売却益の税金は特例で0円にして、新しい家では住宅ローン控除を使おう」
と思っております。
…ただ実は、ほとんどの場合、その両方は同時に使えません。
こんにちは!
足立区・下町エリアの不動産専門家、
センチュリー21アイリンクスの飯島です。
今回は、住み替えで後悔しないための、
最も重要なお金の知識。
多くの方が知らない「併用できない特例」の落とし穴と、
「どちらを選べば本当にお得なのか」という究極の選択について、
プロの視点から徹底的に解説します。
※そもそも不動産売買における確定申告の基本
(誰が・いつ必要か)から知りたい、という方は、
まずはこちらの【総合ガイド】からお読みいただくのがおすすめです。
【→【不動産売買の確定申告】いつ・誰が必要?住宅ローン控除から売却益まで徹底解説】
住み替えで使える、2つの主要な税金特例
まず、住み替えの際に登場する、
2つの強力な税金優遇制度をおさらいしましょう。
- 売却時の特例:「3,000万円特別控除」
マイホームを売却して出た利益から、
最高3,000万円を控除できる制度です。
ほとんどの方は、この特例を使えば売却益にかかる税金が0円になります。 - 購入時の特例:「住宅ローン控除」
新しい家を住宅ローンで購入した場合、
年末のローン残高の0.7%が、
所得税などから最大13年間(中古は10年間)にわたって戻ってくる制度です。
【最重要】2つの特例は「選択適用」=併用できません!
ここが、今回の記事で絶対に覚えていただきたいポイントです。
家を売却して「3,000万円特別控除」の適用を受けた場合、
その売却した年と、
その翌年・翌々年の合計3年間は、
新しく購入した家の「住宅ローン控除」を適用することができません。
これは「選択適用」と呼ばれ、
どちらか一方の、よりメリットが大きい方を選んでください、
という国のルールなのです。
【プロの視点】結局、どっちを選べば得なの?
では、どちらを選ぶのが賢い選択なのでしょうか。
これはお客様の状況(売却益の額、新しい家のローン額など)によって
答えが変わるため、一概には言えませんが、
プロの視点から見ると、判断の目安は以下のようになります。
- ケース①:「3,000万円特別控除」を優先すべき人
- 目安:売却益が大きく、支払うべき税額が、
将来13年間で戻ってくる住宅ローン控除の総額よりも大きい場合 - 目先の大きな税金の支払いを回避することを最優先する考え方です。
- 目安:売却益が大きく、支払うべき税額が、
- ケース②:「住宅ローン控除」を優先すべき人
- 目安:売却益がほとんどない、または損失が出ている場合。
あるいは、売却益にかかる税額が、将来13年間で戻ってくる住宅ローン控除の総額よりも小さい場合 - こちらは、目先の税金を払ってでも、将来にわたってより多くの還付金を受け取ることを優先する、
トータルで得をする考え方です。多くの場合、こちらの選択が有利になります。
- 目安:売却益がほとんどない、または損失が出ている場合。
まとめ:最適な選択は、専門家とのシミュレーションで
「3,000万円特別控除」と「住宅ローン控除」
この究極の選択を誤ると、
手元に残るお金が数百万円単位で変わってしまうこともあります。
最適な選択は、
- 売却益はいくらか?
- それにかかる税金はいくらか?
- 新しい家の住宅ローン控除で、合計いくら戻ってくるのか?
これらを正確に計算し、比較することでしか導き出せません。
私たち不動産のプロができるのは、
そのシミュレーションの「土台」となる、
正確な数字と情報をご提供することです。
お客様の売却価格や新しい家の購入価格、
そして住宅ローンの金額などを整理し、
判断材料を揃えるお手伝いをします。
その上で、最終的にどの特例を選択すべきかは、
税理士や税務署といった税金の専門家にご相談いただくのが、
最も安全で確実な方法です。
住み替えという大きな決断で後悔しないために、
まずは私たちにご相談ください。
税金の専門家へスムーズにバトンを渡すための、
最高の準備をお手伝いします。