「まだ住宅ローンがたくさん残っているけど、
家を売ることはできるんだろうか…」
これは、ご売却相談の際にお客様からいただく、
非常に多いご質問の一つです。
結論から申し上げますと、
住宅ローンが残っていても、ご売却は可能です。
ただし、それには「抵当権(ていとうけん)」という
担保権を抹消(リセット)する必要があり、
いくつかの重要な注意点が存在します。
今回は、住宅ローンが残っているご自宅を売る際の、
基本的な流れと注意点を網羅的に解説します。
Contents
「抵当権」とは?登記簿のどこにある?
まず「抵当権」とは、銀行などの金融機関が、
住宅ローンを貸す際の「担保」として、
その不動産に設定する権利のことです。
不動産の登記簿謄本(登記記録)の「乙区(おつく)」という欄を見ると、
どの金融機関から、いくら借りているか(極度額)が記載されています。
買主様からすれば、他人のローンの「担保」が付いたままの物件など、
怖くて買えません。
そのため、家を売却する大前提として、
売主様はローンの残債をすべて完済し、
この「抵当権」をキレイに抹消して、買主様に引き渡す義務があります。
【重要】ローン完済後も、登記は「自動で消えない」
ここで、多くの方が誤解されている重要なポイントがあります。
住宅ローンを完済すると、
銀行から「弁済証書」などの書類が送られてきます。
しかし、銀行は「お金を貸す時(抵当権設定)」は手取り足取り親切ですが、
「お金を返し終わった時(抵当権抹消)」は、
基本的に不親切です。
銀行が自動で登記簿の抵当権を消してくれることは、
絶対にありません。
銀行から送られてきた書類を使って、
売主様ご自身(または司法書士)が、
法務局へ「抵当権抹消登記」を申請しなければ、
登記簿の「乙区」には抵当権が残ったままになってしまいます。
この状態では、家を売ることも、新たなローンを組むこともできません。
ローンを完済する方法は?(2パターン)
「抵当権」を抹消するには、ローン残高をゼロにする必要があります。
その方法は、売却価格とローン残高のどちらが大きいかによって、
2パターンに分かれます。
パターンA:【売却価格 > ローン残高】の場合
(例:売却価格 3,000万円 > ローン残高 2,500万円)
最もスムーズなケースです。
売主様は、売却の「決済日(=物件の最終的な引渡し日)」に、
買主様から受け取る「売却代金」を使って、そのままローンを完済します。
上記の例では、2,500万円を返済しても、
手元に500万円(※諸費用・税金を除く)が残ります。
パターンB:【売却価格 < ローNン残高】の場合(=オーバーローン)
(例:売却価格 2,800万円 < ローン残高 3,000万円)
これが最大の注意点です。
このままでは、売却代金(2,800万円)をすべて返済にあてても、
ローンが200万円残ってしまいます。
銀行は、ローンが1円でも残っていれば、抵当権の抹消に応じてくれません。
この場合、売主様は不足分の200万円を、
決済日当日に「自己資金(お手持ちの現金・預金)」で用意し、
売却代金(2,800万円)と合わせて3,000万円を銀行に返済する必要があります。
決済日当日の「お金」と「登記」の流れ
上記A・Bいずれの場合も、
決済日当日には銀行の応接室などに、
売主様、買主様、不動産会社、
そして「司法書士(しほうしょし)」という法律の専門家が集まります。
そこで、以下の手続きがすべて同日、ほぼ同時に行われます。
① 買主様から売主様へ「売却代金」が支払われる
② 売主様が金融機関へ「ローン残債」を完済する(※Bの場合は自己資金も投入)
③ 金融機関が「抵当権抹消の書類」を司法書士に渡す
④ 司法書士が「登記」手続きを行う
ここが最も重要です。
司法書士は、③の書類を受け取ると、
その足で法務局へ直行し、以下の2つの登記を同時に申請します。
抵当権抹消登記:売主様のローン担保を消す手続き
所有権移転登記:家の名義を売主様から買主様へ変更する手続き
(※ちなみに、抵当権抹身登記は、法務局に相談すればご自身で行うこと(DIY)も
不可能ではありませんが、決済日当日に行う所有権移転とセットの手続きは、
絶対に司法書士に依頼する必要があります。)
まとめ
このように、住宅ローンが残っている状態での不動産売却は、
専門的な手続きが絡みます。
しかし、これらの手続きはすべて
「司法書士」が責任を持って行いますので、ご安心ください。
私たち不動産会社(センチャリー21 アイリンクス)の最も重要な役割は、
まず「お客様のローン残高」と「想定される売却価格」を正確に把握することです。
その上で、「オーバーローン」になる可能性がある場合は、
自己資金がどれくらい必要になるかを事前にシミュレーションし、
決済日まで安全・安心な取引を最後までサポートいたします。
「自分のローン残高だと、売却時に持ち出しが必要かな?」
ご不安な方は、まずは査定と合わせてお気軽にご相談ください。
もしあなたが、マイホーム(戸建てやマンションなど)を売却した翌年に、
「そもそも、売却したら全員が確定申告をしなければならないの?」
「利益も出ていないし、税金を納める必要がない場合でも申告は必要?」
が知りたい場合には、こちらの記事をどうぞ